NVIDIAの自律エージェント " NemoClaw " を使い始めるまで。そしてOpenClawとの違い!
最近NVIDIAから発表されたNemoClawが気になってたので、実際に使い始めるところまでやってみました。導入手順と基本的な使い方をまとめておきます。同じように試してみたい方の参考になれば嬉しいです。
NemoClawとは何か
NemoClawはNVIDIAが2026年3月に発表した、オープンソースのエンタープライズ向けAIエージェント基盤です。OpenClawという自律型エージェントプラットフォームをセキュアに動かすための仕組みとして設計されていて、そこにNVIDIA独自のセキュリティ・プライバシー機能を追加した構成になっています。
OpenClawをそのまま使う場合と何が違うかというと、NemoClawでは「どのデータをどこに送るか」「エージェントがどこまで何をしていいか」をポリシーとして管理できるようになっています。企業ユースを強く意識した作りで、個人でもプライバシーを重視したい人には刺さる内容です。
参考リンク
- NemoClaw — NVIDIA's Open-Source Enterprise AI Agent Platform(nemoclaw.bot)
- NVIDIA Announces NemoClaw for the OpenClaw Community(NVIDIAニュースリリース、2026年3月)
NemoClawでできること(基本機能)
NemoClawの主な機能は3つです。
まずセキュリティ・プライバシーのガードレール。NVIDIA OpenShellという仕組みを使って、エージェントの動作範囲をポリシーで制御できます。どのエンドポイントへの通信を許可するかを宣言的なYAMLで管理できます。
次にNemotronモデルによる推論。NVIDIAのNemotron 120Bモデルを利用できます。推論はOpenShellゲートウェイを経由したクラウドAPI経由になりますが、ポリシーで通信先を制御できるのでセキュリティ面での安心感があります。
そしてマルチプラットフォーム対応。クラウド環境はもちろん、NVIDIA GeForce RTX搭載のPC、RTX Proワークステーション、DGX Station、さらにはスーパーコンピュータまで幅広く対応しています。手元のRTXマシンがあればすぐ試せるのは嬉しいですね。
参考リンク
- NVIDIA NemoClaw: Deploy Safer AI Assistants with OpenClaw Safety Guardrails(nvidia.com)
- NVIDIA NemoClaw Open-Source AI Agent 2026: Enterprise Guide(ai.cc、2026年)
導入前の準備
インストール前に確認しておきたいことをまとめておきます。
動作環境として確認したのは以下の点です。
- OS:Linux Ubuntu 22.04 LTS 以降(READMEに明記されている公式サポート環境)
- Docker:インストール済みで動作していること
- NVIDIA OpenShell:事前にインストールが必要
- Node.js:インストールスクリプトが自動でインストールしてくれるので、なくても大丈夫です
まだアルファ版なので対応環境がLinuxに限られていますが、Dockerが動く環境であれば始められます。
参考リンク
インストール手順
実際の手順はかなりシンプルで、3ステップで終わります。
① リポジトリをクローンする
git clone https://github.com/NVIDIA/NemoClaw.git
cd NemoClaw
② インストールスクリプトを実行する
./install.sh
Node.jsが入っていなければ自動でインストールされます。
③ セットアップウィザードに従って設定する
スクリプトを実行するとウィザードが起動して、以下の3つを対話形式で設定していきます。
- サンドボックスの作成(エージェントの動作環境)
- 推論設定(ローカルモデルかクラウドか)
- セキュリティポリシーの適用
どれもデフォルト設定のままでも動くので、最初はEnterを連打するだけで完了します。
Windowsの場合(非公式)
現時点でNemoClawが公式にサポートしているのはLinux Ubuntu 22.04 LTS以降のみで、Windowsは対象外です。やってみたので試してみたい方向けに手順をまとめておきます。
① WSL2 + Ubuntu 22.04をセットアップする
PowerShellを管理者権限で開いて実行します。
wsl --install -d Ubuntu-22.04
インストール後、Ubuntuを起動してユーザー名・パスワードを設定します。
② Python3 / pip3をインストールする
vLLMのインストールに必要です。
sudo apt update && sudo apt install -y python3-pip
③ Docker EngineをWSL2内にインストールする
Docker DesktopはなくてもOKです。WSL2のUbuntuターミナル内にDocker Engineを直接インストールするほうが軽量でシンプルです。
sudo apt update
sudo apt install -y docker.io
sudo service docker start
sudo usermod -aG docker $USER
③ NVIDIA OpenShellをWSL2上にインストールする
NVIDIA OpenShellはNemoClaw動作の前提条件です。WSL2のUbuntuターミナルで以下を実行します。
curl -LsSf https://raw.githubusercontent.com/NVIDIA/OpenShell/main/install.sh | sh
インストール後、PATHを通します。これをしないと openshell コマンドが使えないので必須です。
echo 'export PATH="/home/$USER/.local/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
source ~/.bashrc
動作確認はこちらです。
openshell --version
④ NVIDIA APIキーを取得する
NemoClawはNemotronモデルの推論にNVIDIAのクラウドAPIを使うため、APIキーが必要です。事前に取得しておきましょう。
- https://build.nvidia.com/settings/api-keys にアクセス
- NVIDIAアカウントでサインイン
- 「Generate API Key」でキーを生成
nvapi-で始まる文字列をメモしておく
⑤ 通常のLinux手順でNemoClawをインストールする
あとはLinuxと同じ手順です。
git clone https://github.com/NVIDIA/NemoClaw.git
cd NemoClaw
./install.sh
繰り返しになりますが、この手順は公式にサポートされていないので動作は保証されません。問題が起きても公式のサポートは受けられないのでご注意を。
参考リンク
動かしてみる
基本的な使い方
インストール後にまず行うのはサンドボックスへの接続です。以下のコマンドでサンドボックスのシェルに入ります(<name> はセットアップ時に設定した名前)。
nemoclaw <name> connect
サンドボックス内でエージェントとチャットするには、対話型インターフェースを起動します。
openclaw tui
CLIベースでメッセージを送る場合はこちらです。
openclaw agent
サンドボックスはネットワーク・ファイルシステム・プロセスの各レイヤーでポリシーが効いていて、設定次第でファイルアクセスは /sandbox と /tmp のみに制限されます。設定を見直したいときはオンボードウィザードを再実行できます。
nemoclaw onboard
OpenClawとの違い
NemoClawはOpenClawにNVIDIA OpenShellによるポリシー管理レイヤーを追加したものです。エージェントの通信先やファイルアクセスをポリシーで制御できる点がNemoClawの特徴です。
具体的には、「明示的に許可されたエンドポイントにのみ通信できる」というstrict-by-defaultな設計になっています。デフォルトでAnthropicのAPI・NVIDIAエンドポイント・GitHubなど基本的なエンドポイントは許可されていますが、それ以外の宛先はブロックされます。エージェントが未許可のホストにアクセスしようとすると、OpenShellがリクエストをブロックしてTUIに通知を出すので、オペレーターが都度承認・拒否できます。これがOpenClawとの最大の違いです。
ポリシーは変更できるタイミングによって2種類あります。
- 固定ポリシー(サンドボックス作成時に決まる):ファイルシステム制限・プロセス制限
- 動的ポリシー(実行中に変更可能):ネットワークポリシー・推論ルーティング
ポリシーを適用する
ポリシーの変更方法はStatic ChangeとDynamic Changeの2種類あります。
Dynamic Change(サンドボックス稼働中に適用)
ネットワークポリシーは稼働中のサンドボックスにそのまま反映できます。YAMLファイルを用意して以下のコマンドで適用します。
openshell policy set <sandbox-name> --policy policy.yaml
Static Change(ファイルシステム・プロセスポリシーの変更)
filesystem_policy と process の変更はYAMLを編集後、nemoclaw onboard を再実行して反映します。
nemoclaw onboard
YAMLのサンプルは以下の通りです。
version: 1
filesystem_policy:
include_workdir: true
read_only: [/usr, /lib, /proc, /dev/urandom, /app, /etc, /var/log]
read_write: [/sandbox, /tmp, /dev/null]
process:
run_as_user: sandbox
run_as_group: sandbox
network_policies:
example:
name: github-api-readonly
endpoints:
- host: api.github.com
port: 443
protocol: rest
tls: terminate
enforcement: enforce
access: read-only
binaries:
- { path: /usr/bin/curl }
参考リンク
まとめ
NemoClawはOpenClawベースの自律型エージェントに、NVIDIAのセキュリティ・プライバシー機能を乗せたツールです。インストール自体は git clone して ./install.sh を叩くだけなので、導入コストはかなり低いです。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ベース | OpenClaw(自律型エージェントプラットフォーム) |
| 追加機能 | セキュリティポリシー・プライバシーガードレール |
| 推論 | NVIDIA Nemotron 120B(クラウドAPI経由) |
| 対応環境 | RTX PC / ワークステーション / クラウド |
| インストール | git clone → ./install.sh のみ |
まずはローカルで動かしてみて、ポリシー設定を少しずつ触っていくのがよさそうです。引き続き使い込んでいったら、また記事にしようと思います。