< AIエージェント入門 第一章 > 何回も言わなくて済む!AIエージェントの記憶・ルール機能を比べてみた Claude Code vs Cursor vs Google Antigravity

記憶・ルール

AIエージェントを使っていると、「さっき説明したよ……」という事がよくあると思います。 そういう時に役立つのが「記憶・ルール」の仕組みです。ここでは4つの観点で3つのツールを比べてみます。

観点概要
永続的な指示セッションをまたいでエージェントに読み込ませる指示を書いておくファイルの仕組み
指示の適用スコープ指示を「このプロジェクトだけ」「自分のPC全体」「組織全体」などどこまで効かせるかの設定
指示の起動条件指示を常時読み込むのか、特定のファイルを編集するときだけ読み込むのかなどのトリガー設定
自動メモリエージェントが作業中に自ら学んだことを自動で記録・再利用する仕組み

永続的な指示ファイル

エージェントへの「お約束」をファイルに書いておいて、セッション開始時などに自動で読み込ませる仕組みのことです。「TypeScriptを使うこと」「コミットメッセージは英語で」「テストは必ず書いて」——こういった指示を一度書いておけば、毎回伝えなくても済みます。

Claude Code — CLAUDE.md と .claude/rules/

Claude Codeの場合は CLAUDE.md というMarkdownファイルに指示を書きます。プロジェクトのルートに置いておくだけで、セッション開始時に自動で読み込んでくれます。

指示が増えてきたら .claude/rules/ ディレクトリにトピック別のMarkdownファイルを分割して置くこともできます。こちらもセッション開始時に自動で読み込まれます。

your-project/
├── CLAUDE.md              ← メインの指示ファイル
├── .claude/
│   └── rules/
│       ├── testing.md     ← トピック別に分割できる
│       └── api-design.md
└── src/

参照 https://code.claude.com/docs/ja/memory.md

Cursor — .cursor/rules/ と AGENTS.md

Cursorでは .cursor/rules/ ディレクトリに .mdc または .md 拡張子のMarkdownファイルを置きます。シンプルに使いたいなら AGENTS.md をプロジェクトルートに置く手もあります。

your-project/
├── .cursor/
│   └── rules/
│       ├── coding-style.mdc   ← ルールファイル
│       └── testing.mdc
└── src/

参照 https://cursor.com/docs/rules

Google Antigravity — GEMINI.md と .agents/rules/

Antigravityでは GEMINI.md(グローバル)と .agents/rules/ ディレクトリ(ワークスペース)の2種類を使います。ファイル名は違いますが、Markdownで指示を書くという発想はClaude Codeと同じです。

your-project/
├── .agents/
│   └── rules/
│       └── my-rule.md     ← ワークスペース固有のルール
└── src/

グローバルルールは ~/.gemini/GEMINI.md に書きます。

参照 https://antigravity.google/docs/rules-workflows


指示の適用スコープ

「このルールはこのプロジェクトだけ」「自分の全プロジェクトに適用したい」「会社全体に強制したい」——スコープをどこまで細かく設定できるか、ツールによって少し違います。

Claude Code — 3段階

Claude Codeには3段階のスコープがあります。

優先度スコープファイルの場所
高(上書き不可)マネージドポリシー(組織全体)MDM等で配布
プロジェクト(チーム共有)./CLAUDE.md / ./.claude/CLAUDE.md / ./.claude/rules/
ユーザー(自分の全プロジェクト)~/.claude/CLAUDE.md / ~/.claude/rules/

.claude/rules/ 配下のファイルは CLAUDE.md と同じスコープとして扱われます。チームで共有したい設定は「プロジェクト」、個人の好みは「ユーザー」に書くのがきれいな使い分けです。

参照 https://code.claude.com/docs/ja/memory.md

Cursor — 3段階

Cursorは3段階です。チーム管理者がダッシュボードからルールを配布できる「チームルール」が特徴的で、優先度はチーム → プロジェクト → ユーザーの順で適用されます。

優先度スコープ場所
チームルールCursor ダッシュボード
プロジェクト.cursor/rules/ / AGENTS.md
ユーザーCursor Settings → Rules

参照 https://cursor.com/docs/rules

Google Antigravity — 2段階

Antigravityは2段階でシンプルです。グローバルかワークスペースか、どちらかを選ぶだけです。

スコープ場所
グローバル(全ワークスペース)~/.gemini/GEMINI.md
ワークスペース(プロジェクト固有).agents/rules/

※ 優先順序は公式ドキュメントに記載が見当たらなかったが、ワークスペースルールがグローバルルールより優先されるとの情報あり(非公式)。

参照 https://antigravity.google/docs/rules-workflows


指示の起動条件

指示ファイルを「常に読み込む」のか「特定のファイルを触ったときだけ読み込む」のか——細かく設定できるほど、コンテキストの無駄遣いを減らせます。

Claude Code — 常時 or グロブパターン

ファイルごとに2種類の起動条件が使えます。

ファイル起動条件
CLAUDE.mdセッション開始時に毎回必ず読み込む
.claude/rules/(frontmatterなし)セッション開始時に毎回必ず読み込む
.claude/rules/paths: frontmatterあり)指定したグロブパターンに一致するファイルを触ったときのみ読み込む

paths: frontmatterを使うと、特定ファイルを触ったときだけ読み込まれるルールが作れます。

---
paths:
  - "src/api/**/*.ts"
---

# API開発ルール
- すべてのエンドポイントに入力検証を追加する

常時読み込みと組み合わせることでコンテキストをうまく節約できます。

参照 https://code.claude.com/docs/ja/memory.md

Cursor — 4種類のトリガー

Cursorは起動条件が一番豊富で、4種類から選べます。ただし AGENTS.md には起動条件の設定項目がありません。

ファイル起動条件の種類
AGENTS.md起動条件の設定項目なし(具体的な記述は公式ドキュメントに見当たらない)
.cursor/rules/*.mdc下記4種類から設定可能
種別説明
Always Applyセッション開始時に毎回必ず読み込む
Apply IntelligentlyAIが文脈を判断して自動適用
Apply to Specific Filesグロブパターンで特定ファイル種別にのみ適用
Apply Manually@rulename で明示的に呼び出し

「AIが文脈を判断して自動適用」するモードがあるのはCursorならではです。

参照 https://cursor.com/docs/rules

Google Antigravity — 4種類のトリガー

Antigravityも4種類のアクティベーション方式があります。GEMINI.md(グローバル)は全ワークスペースに適用されますが、具体的な読み込みタイミングは公式ドキュメントに見当たりませんでした。.agents/rules/ 配下は下記から選べます。

種別説明
Always Onセッション開始時に毎回必ず読み込む
Model Decisionモデルが自然言語の説明を元に判断して適用
Globグロブパターンにマッチするファイル編集時に適用
Manual@メンション で明示的に呼び出し

参照 https://antigravity.google/docs/rules-workflows


自動メモリ

「ドキュメントは全てマークダウンで」と教えたら、次回からも覚えていてほしいですよね——そんな用途に応えるのが自動メモリです。ユーザーが明示的に書かなくても、エージェントが作業中に学んだことを自動で記録して再利用してくれます。

Claude Code — Auto Memory(ファイルベース)

Claude Codeの自動メモリは MEMORY.md を中心にMarkdownファイルで管理されます。~/.claude/projects/<project>/memory/ に保存されて、セッション開始時に先頭200行が自動でロードされます。

トピック別に debugging.mdbuild-commands.md みたいに分割ファイルを作ることもできて、MEMORY.md はそれらへの目次として機能します。

~/.claude/projects/my-project/memory/
├── MEMORY.md           ← 起動時に自動ロード(先頭200行)
├── debugging.md        ← オンデマンドロード
└── build-commands.md   ← オンデマンドロード

/memory コマンドでメモリの確認・編集・ON/OFFの切り替えができます。

参照 https://code.claude.com/docs/ja/memory.md

Cursor — 自動メモリ(公式ドキュメントで確認できず)

公式ドキュメントで確認できる範囲では、自動メモリに相当する機能の具体的な記述は見当たりませんでした。@past chats で過去の会話をコンテキストとして参照する機能はありますが、繰り返し使いたい情報はルールファイルに手動で書く運用になります。

参照 https://cursor.com/help/customization/context

Google Antigravity — ナレッジアイテム(UI管理)

AntigravityはUI付きのナレッジアイテムという仕組みを持っています。コーディングセッションから重要な洞察・パターン・解決策を自動で抽出・整理して保存し、複数の会話をまたいで再利用できます。

各ナレッジアイテムはサマリーと**アーティファクト(詳細)**で構成されていて、参照タイミングが異なります。

ナレッジアイテム
├── サマリー(概要)   ← 常時参照可能
└── アーティファクト   ← 関連があるとエージェントが判断したときにオンデマンドで読み込む

全件のサマリーは常に手元にあって、詳細は必要なときだけ引っ張ってくる設計です。Markdownファイルで管理するClaude Codeと違って、専用UIから中身を確認・編集できるのも特徴です。

参照 https://antigravity.google/docs/knowledge


まとめ

観点Claude CodeCursorGoogle Antigravity
指示ファイル名CLAUDE.md / .claude/rules/AGENTS.md / .cursor/rules/*.mdc または *.mdGEMINI.md / .agents/rules/*.md
スコープCLAUDE.md → 3段階(組織/プロジェクト/ユーザー)
.claude/rules/ → 2段階(プロジェクト/ユーザー)
AGENTS.md → プロジェクト固有のみ
.cursor/rules/ → 3段階(チーム/プロジェクト/ユーザー)
GEMINI.md → グローバル(全ワークスペース)
.agents/rules/ → ワークスペース固有
起動条件CLAUDE.md → セッション開始時に必ず読み込み
.claude/rules/(frontmatterなし)→ セッション開始時に必ず読み込み
.claude/rules/paths: あり)→ グロブパターン一致時のみ
AGENTS.md → 設定項目なし(公式ドキュメントに記述なし)
.cursor/rules/ → 4種類(常時/AI判断/グロブ/手動)
GEMINI.md → 読み込みタイミングの記述なし
.agents/rules/ → 4種類(常時/モデル判断/グロブ/手動)
自動メモリ✅ あり(Markdownファイルで自動保存)⚠️ 公式ドキュメントで確認できず✅ あり(UIで管理するナレッジアイテム)

どれを選ぶかの基準をざっくりまとめると

  • 自動メモリが欲しいなら → Claude Code か Antigravity。Claude Codeはファイルベースで自分で編集しやすく、AntigravityはUIから直感的に管理できます。
  • スコープを細かく制御したいなら → Claude Code(3段階)か Cursor(3段階)。
  • 起動条件を柔軟に設定したいなら → Cursor または Antigravity。どちらも「AIが文脈を判断して自動適用」するモードを持っています。
  • シンプルに始めたいなら → どのツールもMarkdownファイルを置くだけで動くので差はありません。まずは CLAUDE.mdAGENTS.mdGEMINI.md を1ファイル作るところから始めましょう。

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