セキュリティ監視入門! MITRE ATT&CK編 その①フレームワークの理解

最近はもっぱらジム行って筋トレと水泳しかしてないですが、久し振りにブログを書こうと思います。

何を書くかと言うと、じつは少し前に、MITRE ATT&CKを完全に理解しました。せっかくなので、これを忘れないうちにアウトプットしていきます。あと、このフレームワークはセキュリティ監視をする上でとても役に立つため、知ってもらいたいと思っています。


今のところ、全部で10章くらいの予定なんですが、一気に書くのは不可能なので、1章ずつ小出しにして行こうと思ってます。目次はこんな感じです。

セキュリティ監視入門! MITRE ATT&CK編

  1. フレームワークの理解
  2. 現状の評価
  3. テクニックの選定
  4. ログ収集の最適化
  5. 検出ルールの作成・最適化
  6. シミュレーションテスト
  7. 監視体制の強化
  8. 継続的な学習
  9. 定期的なレビュー
  10. スタッフの教育・トレーニング

今日は「1. フレームワークの理解」です。
では、さっそく。


1.フレームワークの理解

1.1 MITRE ATT&CKフレームワークとは

MITRE ATT&CKフレームワークは、サイバーセキュリティの世界で広く採用されているナレッジベースの一つです。このフレームワークは、サイバー攻撃の手法、戦術、および手順に関する包括的な情報を提供し、セキュリティ専門家が攻撃をより効果的に検出し、防御するのを助けます。MITRE社によって開発され、継続的に更新されているこのフレームワークは、実際の攻撃事例に基づいており、そのリアリティと実用性から多くの組織で信頼されています。

セキュリティ対策においてフレームワークを採用することは非常に重要です。これにより、セキュリティチームは組織を取り巻く脅威の全体像を把握し、防御策を体系的かつ効果的に構築することができます。MITRE ATT&CKフレームワークは、攻撃者の行動パターンを理解し、それに基づいて防御戦略を立てるのに役立ちます。このフレームワークを利用することで、セキュリティチームは攻撃者が使用する可能性のある手法を事前に把握し、適切な監視ポイントを設定してインシデントの早期発見と対応を可能にします。

要するに、このフレームワークは以下の表で示されています。(参照元)左から右にかけて攻撃者が侵入を進めていくステップを、その下に各ステップの攻撃手法が書いてあります。攻撃者は各ステップの攻撃手法を用いて右へ右へと侵入を進めていきます。例えば、フィッシングは初期アクセスの攻撃手法となるため、Initial Accessの下に書かれています。



1.2 フレームワークの構造

MITRE ATT&CKフレームワークは、その緻密な構造と体系的なアプローチによって、セキュリティ専門家がサイバー攻撃を理解し対処するのを助けます。このフレームワークは主に三つの主要なコンポーネントから成り立っています。

  1. タクティクス
    上記で、「侵害していくステップ」と表現しましたが、MITRE ATT&CKフレームワークではタクティクス(戦術)と言います。タクティクスは攻撃者の目標を表し、攻撃のライフサイクルにおける各ステージを示します。例えば「初期アクセス」、「実行」、「持続」などがあります。これらは攻撃者がどのような目的を持って行動しているかを理解するのに役立ちます。
  2. テクニック
    上記で、「攻撃手法」と表現しましたが、MITRE ATT&CKフレームワークではテクニックと言います。各タクティクスには複数のテクニックが関連付けられており、これは攻撃者がその目標を達成するために使用する具体的な方法を示します。テクニックは「フィッシング」や「マルウェアの利用」など、具体的な攻撃手法を表します。
  3. プロシージャ
    プロシージャはテクニックをさらに細分化し、実際の攻撃例や攻撃者の具体的な行動パターンを示します。これにより、セキュリティ専門家は特定の攻撃グループやキャンペーンに関連する行動を理解し、対策を講じることができます。

これらのコンポーネントは相互に関連しており、攻撃の全体像を描くのに役立ちます。セキュリティチームはこの構造を利用して、攻撃の兆候を検出し、適切な防御策を講じることができます。フレームワークの構造は、攻撃の理解を深め、より効果的なセキュリティ対策を実施するための強力な基盤を提供します。

1.3 テクニックとタクティクス

MITRE ATT&CKフレームワークを理解する上で、テクニックとタクティクスの違いを把握することは非常に重要です。これらはセキュリティ監視と防御戦略の構築において中心的な役割を果たします。

タクティクスは攻撃者の目標や意図を表し、攻撃ライフサイクルの各段階を示します。これによりセキュリティチームは攻撃者が何を試みているのかを理解し、防御の焦点を合わせることができます。例えば、「権限昇格」や「データの抽出」などのタクティクスは、攻撃者がシステム内でどのような行動を取ろうとしているかを示します。

一方で、テクニックは攻撃者がその目標を達成するために使用する具体的な方法を示します。これは「パスワードスプレー」や「フィッシング」など、具体的な攻撃手法を指します。テクニックはセキュリティチームにとって、攻撃の兆候を特定し、適切な監視ポイントを設定するための手がかりを提供します。

タクティクスとテクニックを組み合わせることで、セキュリティチームは攻撃の全体像を把握し、防御策をより効果的に構築することができます。タクティクスは「何を」、テクニックは「どのように」攻撃が行われるかを示し、これらの情報を基にセキュリティ監視を最適化し、インシデントの早期発見と対応を可能にします。

1.4 ユースケース

MITRE ATT&CKフレームワークは、その実用性と適用範囲の広さから、世界中の多くの組織で利用されています。ここでは、フレームワークがどのように実際に利用されているか、具体的なユースケースを紹介します。

インシデントレスポンス
セキュリティインシデントが発生した際、フレームワークは攻撃者の手法と行動パターンを迅速に特定し、適切な対応策を講じるのに役立ちます。例えば、フィッシング攻撃を受けた企業が、フレームワークを使用して攻撃者の手法を分析し、他のシステムへの侵入を防ぐための対策を講じる事ができます。

脅威インテリジェンス
フレームワークは、異なる攻撃グループやキャンペーンに関する情報を整理し、セキュリティチームが最新の脅威情報を把握し、防御策を強化するのに役立ちます。例えば、ある組織がフレームワークを利用して特定の攻撃グループの手法を分析し、その知見をもとにセキュリティ対策を強化できます。

セキュリティアウェアネスの向上
フレームワークは教育ツールとしても利用され、スタッフやセキュリティ専門家のセキュリティ意識を高めるのに役立ちます。実際に、多くの組織がフレームワークをトレーニングプログラムに組み込み、スタッフに対して現代のサイバー脅威について教育しています。

これらのユースケースは、MITRE ATT&CKフレームワークがセキュリティ対策を強化し、組織を守る上でいかに有効であるかを示しています。フレームワークの適用により、セキュリティチームは攻撃をより迅速かつ効果的に検出し、対応することが可能となります。

1.5 フレームワークを学ぶためのリソース

MITRE ATT&CKフレームワークを学ぶためには、様々なリソースが利用可能です。ここでは、書籍、ウェブサイト、トレーニングプログラムなど、フレームワークを効果的に学ぶための主要なリソースを紹介します。

公式ウェブサイト
MITREの公式ウェブサイトは、フレームワークに関する最も正確で詳細な情報を提供しています。ここでは、テクニック、タクティクス、プロシージャに関する説明のほか、実践的なガイダンスや事例研究も提供されています。

書籍
市場には、MITRE ATT&CKフレームワークに関する書籍がいくつか存在しており、初心者から上級者まで幅広い読者を対象にしています。これらの書籍は、フレームワークの歴史、構造、活用方法などを詳しく解説しています。

オンラインコースとトレーニングプログラム
セキュリティ専門家向けのオンラインコースやトレーニングプログラムも豊富に提供されており、実践的なスキルを身につけることができます。これらのプログラムは、フレームワークの基本から応用まで、段階的に学ぶことができます。

コミュニティとフォーラム
MITRE ATT&CKコミュニティは、世界中のセキュリティ専門家が知識や経験を共有する場となっています。フォーラムやメーリングリストを通じて、他の専門家と交流し、学び合うことができます。

ツールとインテグレーション
フレームワークは多くのセキュリティツールと統合することが可能です。これらのツールを活用することで、フレームワークの知識を実際のセキュリティ対策に応用し、スキルを向上させることができます。

これらのリソースを活用することで、MITRE ATT&CKフレームワークに関する知識を深め、セキュリティ対策を強化することが可能となります。


という感じで、1章「フレームワークの理解」はここまでです!読んでくれてありがとうございます。続きはいつになるかわかりませんが、また書くつもりです。

TryHarder!!


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